生産・製造エンジニア

SSD製品の生産は、フィリピンにある加工委託先の工場を軸に、中国や台湾のEMSにも委託しており、右肩上がりで生産量を伸ばしている。グローバルかつ多品種大量生産型のダイナミックなものづくりについて、「生産技術と品質保証(試験技術)」二人のエンジニアに語ってもらった。

参加者プロフィール

SSD生産技術部 O.

2018年9月キャリア入社、電気・電子専攻。前々職で20年あまり、コンピュータやHDDなどの生産技術に携わる。SSD製品の量産を委託しているアジア各国の工場と緊密に連携。生産ラインの立ち上げ・改善、操業の効率化や自動化を推進。主として設備の稼働率向上を手掛けている。

SSD品質保証部 F.

2009年4月新卒入社、電気電子情報工学専攻。学生時代からSSDの将来性に着目。四日市工場でメモリ製造プロセス後工程のテスト、不良解析を経験した後、2011年から現職。SSD品質保証部の役割は、1)SSDの機能・特性等の設計評価、2)量産試験工程の立ち上げなど信頼性の保証、3)顧客対応が三本の柱。自身はクライアント向けとデータセンター向けのSSD製品の工程試験を担当。

Q1 SSD生産・品質保証(試験技術)領域において、どのような業務を担当しているのですか。

O. IT業界のお客様向けSSD製品の生産技術を担当しています。フィリピンにある加工委託先の工場が主要な製造現場なので、そこでの生産性向上が最大のテーマです。私自身、試験設備の稼働率を上げるプロジェクトのリーダーを経験したばかりですが、部署では新製品の工程立ち上げ、現行品の工程や設備の改善、省力化・自動化の促進など、工場の生産技術全般を受け持っています。また、フィリピンにある加工委託先工場では現在、エンタープライズ向け・データセンター向け・クライアント向け、3つのカテゴリーすべての製品を量産していますが、今後は高度な生産技術が求められるエンタープライズ向けとデータセンター向けに的を絞り、コストが重視されるコンシューマ向けは、中国や台湾のEMSへの委託生産にシフトしていく方針です。

F. 私は品質保証部で、データセンター向けとクライアント向けのSSD製品の信頼性試験を担当しています。工場で組み上がった製品が所定の品質を満たしているか確認したうえで、市場に送り出すための出荷試験を計画して現場に展開するのが、メインのミッションです。ものづくりの最終関門として、世界に送り出す製品の信頼性を担保する業務だけに、責任の重さを痛感しています。もうひとつ、出荷した製品が所定の耐用年数をまっとうするまで、ユーザーさんに安心して使っていただけるよう、耐久性を確認する試験の計画・実行も大事な役割です。

Q2 ものづくりの観点から見て、キオクシアのSSDにおける競合優位性を感じるポイントは?

F. SSDは、いろいろなハードとソフトが連携して作動し、高速かつ安全にデータを記録・保管するシステム機器です。フラッシュメモリを制御するコントローラのSoCには、CPUやDRAM、SRAM等の電子部品、SATAや次世代PCI規格などのバスインターフェース、リード/ライト、セキュリティ、ECC(エラー検出・訂正)等の機能をつかさどるファームウェアが組み込まれており、複雑なメカニズムとアルゴリズムによって動いています。しかも2次元のNAND型フラッシュメモリから3次元のBiCS FLASH™へ、世代の進化とともにメモリを使いこなす技術は日々高度になるため、自社でメモリからコントローラまで開発・生産している当社には、最先端のメモリの特性を最大限に引き出してSSDに適用できるアドバンテージがあります。信頼性技術もメカニズムを詳しく理解していないと、深く検証できないのですが、社内に豊富な技術資料が蓄積されているため、最新のノウハウを習得しながら、信頼性や品質の追求ができています。

O. 日常的にグローバルに活動して、自分たちのものづくりの足跡を残せることだと思います。私は入社後の半年間に3回、1回1週間から3週間、フィリピンに出張しました。応用技術部門を通じ、世界的に有名なIT企業のお客様のオーダーを受け取れますし、世界各国の開発拠点からも有意義な情報が入ってきます。川上と川下の両方を見通しながら、自分たちが主体になってグローバルで最先端の大規模なものづくりをドライブできるのは、あまり他に例のない環境だと思います。

Q3 SSD製品の生産技術と品質保証(試験技術)、それぞれの魅力は?

O. ラインや設備と向き合うだけでなく、組立や試験をしている現場の人たちと触れあいながら仕事を進めていけるのがいいですね。現地の工場で組み立て等の実務を担う人々も楽しく豊かに働けなければよい製品は量産できません。例えばフィリピンの加工委託先では、現地の人々に直接自分がやり方を見せる、休憩時間には自分から率先して話しかけるなど、人対人でリレーションをとっていると通じ合うものがあります。こうした積み重ねも工場の安定稼働には欠かせないと感じています。
合わせて、SSDの生産量は急速に拡大中ですので、マテリアルハンドリングをできるだけ少なくする。コンタミの入りにくいケースを工夫するなど生産現場の改善も急ピッチで進行中。将来的には、IoTやAIを取り入れた自動化への取り組み…と、技術面での興味も尽きません。

F. クライアント向けの分野では、お客様のあらゆる使用環境を考えての評価がチャレンジャブルですね。持ち運ぶものなので、落としても簡単には壊れないようにとか、雪国でも南国でも動くようにとか、客先を想定した信頼性評価が大事です。時には、当社のSSDを搭載するお客様環境そのものの試験を立ち上げ、より実際的な評価や試験も行います。一方でデータセンターの分野では、建物の耐震性が高く、室内の温度や湿度も安定しているので、設置条件は安定的です。その代わり、限りなく絶対に近いレベルで、トラブルが起きたりデータが壊れたりしない信頼性が求められます。特にフラッシュメモリは使っていくうちに記憶力が衰えるので、ライフエンドまで動作を保証するために、様々な加速手法を用いて評価し、安全な製品のみを出荷できるように試験を作ります。多角的に性能を見ていく難しさと面白さが魅力だと感じています。

Q4 最も印象に残っているプロジェクトを教えてください。

F. 東芝(当時)として初めてのデータセンター市場向け次世代PCI規格の SSDを担当したのですが、その量産化プロジェクトが印象に残っています。市場や顧客の使用条件を推定し、どのように評価、試験設計をすれば自信をもって出荷できるかを毎日考えていました。つくり上げた試験工程を、日本のパイロットラインに適用。いろんな部署が一丸となって各種問題解決し、量産化可能と思われるレベルまで改善させて、量産移管するのです。量産開始の瞬間は、何度立ち会っても嬉しいですし、出荷が順調に進むと売上げが伸びていくのがはっきり分かります。事業に貢献している実感を持てるのは最高ですよ。

O. 入社してすぐ、フィリピンの加工委託先の製品検査工程の設備稼働率を向上させるプロジェクトに参画しました。100台以上の装置を利用して耐温度環境の検査等を行うのですが、24時間体制で操業しているため、工程のサイクルを的確に回さないと、ある装置は遊んでいるのに別の装置には検査待ちの製品が並ぶといったロスを生じます。ITに詳しいメンバーと連携して、装置ひとつひとつからデータを収集・分析。私の専門のIE(生産工学)を駆使し、どの装置からどういうサイクルで製品を流していけば、遊び時間を最小限に抑えて稼働率を高められるか、最適な仕組みを編み出しました。稼働率は数字で明らかになるし、比例して出荷量も増えるでしょう。結果として25%ほど大幅な向上を実現でき、社内表彰でも成果が認められて、このうえない達成感でした。

Q5 最後に、転職を検討中の方へのメッセージをお願いします。

O. 異業種でも生産・製造技術の知識・経験があれば、確実に活かせます。私もSSD未経験でしたが、製品が変わっただけで、生産の流れは一緒だったので、すんなり入れました。何より、まだ人に頼っている部分が多いため、私たちが主体になって変えていける可能性にあふれています。製造業のさまざまな分野からキャリア入社したメンバーが集まっていますし、チームワークでお互いに助け合う風土ですから、楽しく働けると思います。

F. SSDは記憶装置の最先端です。今後の次世代メモリを活用する製品として重要性はさらに増し、将来性は充分にあると確信しています。そうしたなか、フロントランナーの当社には、世界の頂点に立つチャンスは十分。『一緒に、世界一のSSDをつくろう』という志のある方とぜひ一緒に働きたいですね。

※インタビュー内容は取材時のものです。(2019年取材)

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